【八重桜の名所 全国版】見頃・種類・楽しみ方まとめ

八重桜の名所 桜の名所

春の終わりを鮮やかに彩る八重桜。ソメイヨシノとは一味違う、幾重にも重なった花びらが織りなす豪華な姿は、見る人の心を惹きつけます。開花時期が遅めなので、お花見シーズンを長く楽しめるのも魅力です。

この記事では、全国各地から選りすぐりの八重桜の名所をご紹介します。それぞれのスポットの見頃や特徴、アクセス情報はもちろん、八重桜の基礎知識や楽しみ方のポイントまで、詳しく解説します。今年のお花見計画に、ぜひお役立てください。

八重桜とは?知っておきたい基礎知識

このセクションでは、八重桜の基本的な情報について解説します。一重咲きの桜との違いや、見頃の時期、代表的な品種などを知ることで、八重桜の鑑賞がより一層楽しくなるでしょう。

豊かな花姿が魅力

八重桜とは、特定の一品種を指すのではなく、花びらが6枚以上重なって咲く桜の総称です。一般的な桜であるソメイヨシノの花びらが5枚なのに対し、八重桜は品種によって10枚から、多いものでは300枚以上の花びらをつけます。

そのボリューム感あふれる花姿から、「牡丹桜(ぼたんざくら)」という別名も持ちます。幾重にも重なる花びらが、まるで牡丹の花のように見えることから名付けられました。ふっくらとした丸みのある花が、枝に密集して咲く様子は非常に華やかです。

開花時期と見頃

八重桜の多くは、ソメイヨシノよりも開花時期が遅いのが特徴です。一般的に、見頃は4月中旬から5月上旬にかけてとなります。地域やその年の気候によって変動はありますが、ソメイヨシノが散り始める頃に咲き始めるため、「春のフィナーレを飾る桜」とも言えます。

開花期間が比較的長い品種が多いのも嬉しいポイントです。ゆっくりとお花見を楽しみたい方や、ソメイヨシノの時期を逃してしまった方にもおすすめです。

代表的な八重桜の種類

八重桜には多くの品種が存在し、それぞれ色や形、開花時期が異なります。ここでは、特によく知られている代表的な品種をいくつかご紹介します。

品種名特徴
関山(カンザン)濃いピンク色の大輪の花が特徴。最もポピュラーな八重桜の一つで、塩漬けにして桜湯などに利用されることも多いです。
普賢象(フゲンゾウ)淡いピンク色の花を咲かせ、時間が経つにつれて中心部が赤みを帯びてきます。花の中心から2本の雌しべが葉のように変化して伸びるのが特徴的です。
一葉(イチヨウ)花の中心から1本の雌しべが葉のように変化して突き出すことから名付けられました。外側は淡いピンク色、中心部は白色で、上品な印象を与えます。
松月(ショウゲツ)開花初期は淡いピンク色で、徐々に白色へと変化します。花の中心部の雌しべが葉のように変化し、花びらの縁には細かい切れ込みが入ります。
鬱金(ウコン)珍しい淡い黄緑色の花を咲かせる八重桜です。ショウガ科のウコンの根で染めた色に似ていることから名付けられました。
八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)名前の通り、紅色の八重の花が枝垂れて咲く品種です。優雅で美しい姿が人気を集めています。

これらの品種は、今回ご紹介する名所でも見ることができます。それぞれの違いを観察してみるのも面白いでしょう。

全国の八重桜名所 選りすぐりスポット紹介

ここでは、全国に数ある八重桜の名所の中から、特におすすめのスポットを厳選してご紹介します。北は北海道から南は愛媛まで、各地の特色あふれる八重桜の絶景をお楽しみください。見頃の時期やアクセス情報も参考に、お出かけの計画を立ててみましょう。

オニウシ公園【北海道】北の大地を彩る遅咲きの競演

北海道森町にあるオニウシ公園は、アイヌ語で「樹木の生い茂った所」を意味する名前の通り、豊かな自然に囲まれた公園です。約500本の桜の中には、森町固有種の「堀井緋桜(ホリイヒザクラ)」や「駒見桜(コマミザクラ)」といった珍しい品種も含まれています。

八重紅枝垂なども植えられており、ソメイヨシノが終わった後も華やかな桜の景色を楽しめます。公園は高台に位置しているため、桜と共に駒ヶ岳や噴火湾(内浦湾)の雄大な景色を一望できるのも魅力です。道の駅「YOU・遊・もり」に隣接しており、アクセスも良好です。

  • 見頃: 5月上旬~5月下旬
  • 桜の種類: ソメイヨシノ、堀井緋桜、駒見桜、千島桜、八重紅枝垂など約20種
  • アクセス: JR森駅から徒歩約10~15分

盛岡城跡公園(岩手公園)【岩手県】石垣に映える歴史と桜

盛岡藩主南部氏の居城跡である盛岡城跡公園は、苔むした石垣が歴史を感じさせる公園です。春には約250本の桜が咲き誇り、石垣とのコントラストが美しい景観を作り出します。

ソメイヨシノのほか、エドヒガン、そして八重紅枝垂などが見られ、4月中旬から5月上旬にかけて、次々と見頃を迎えます。特に、八重紅枝垂は見事な濃いピンク色の花を咲かせ、訪れる人々を魅了します。例年開催される「盛岡さくらまつり」期間中は、夜間のライトアップも行われ、幻想的な夜桜を楽しめます。

  • 見頃: 4月中旬~5月上旬(八重紅枝垂は4月中旬頃から)
  • 桜の種類: ソメイヨシノ、エドヒガン、八重紅枝垂など10種類以上
  • アクセス: JR盛岡駅から都心循環バス「でんでんむし」(左回り)で約8分、「盛岡城跡公園」下車すぐ

長瀞通り抜けの桜【埼玉県】圧巻の桜トンネル

「日本さくら名所100選」にも選ばれている埼玉県長瀞町。町全体で様々な桜を楽しめますが、特に八重桜で有名なのが「通り抜けの桜」です。不動寺の裏山に位置し、約800メートルの散策路沿いに30種類以上、約500本の八重桜が植えられています。

カンザンやフゲンゾウなど、色とりどりの八重桜が咲き誇り、まるで桜のトンネルを歩いているかのような体験ができます。見頃はソメイヨシノより少し遅く、4月中旬から下旬にかけて。開花時期に合わせてライトアップも行われ、昼間とは違った幻想的な雰囲気を味わえます。

  • 見頃: 4月中旬~4月下旬
  • 桜の種類: カンザン、フゲンゾウ、ショウゲツなど八重桜系 約31種
  • アクセス: 秩父鉄道長瀞駅から徒歩約15~20分

有栖川宮記念公園【東京都】都会のオアシスで多様な桜を

東京都港区にある有栖川宮記念公園は、都心にありながら緑豊かな自然を楽しめる憩いの場です。丘や渓谷、池など変化に富んだ地形を生かした庭園が特徴で、四季折々の美しい景色が広がります。

春にはソメイヨシノをはじめ、カンザン、ウコンといった八重桜など、約10種類以上の桜が園内を彩ります。都心にいながら、比較的落ち着いた環境でゆっくりと桜を鑑賞できるのが魅力です。広尾駅から徒歩すぐというアクセスの良さも嬉しいポイントです。

  • 見頃: 4月上旬~4月中旬(八重桜)
  • 桜の種類: ソメイヨシノ、カンザン、ウコン、シダレザクラなど約11種
  • アクセス: 東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩約3~5分

国宝 松本城【長野県】天守閣と八重桜の絶景

現存する五重六階の天守の中で日本最古とされる国宝松本城。雄大な北アルプスを背景にした黒と白のコントラストが美しい城です。春になると、城内や堀沿いに植えられた約300本の桜が咲き誇り、天守閣との見事な景観を作り出します。

ソメイヨシノやシダレザクラに続き、4月中旬から下旬にかけて八重桜が見頃を迎えます。まだ雪を残す北アルプスと、歴史ある天守、そして華やかな八重桜が織りなす風景は格別です。夜間には「夜桜会」としてライトアップも実施され、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。

  • 見頃: 4月中旬~4月下旬(八重桜)
  • 桜の種類: ソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラなど
  • アクセス: JR松本駅から徒歩約15~20分

花のまわりみち~八重桜イン広島~【広島県】希少品種に出会える

大阪の造幣局「桜の通り抜け」は有名ですが、広島市佐伯区にある造幣局広島支局でも、毎年4月中旬頃の1週間限定で「花のまわりみち」として構内が一般公開されます。これは、昭和42年(1967年)に大阪から移植された桜が始まりです。

構内には、カンザン、フゲンゾウといったポピュラーな品種から、大手毬(オオテマリ)、紅手毬(ベニテマリ)など、他ではなかなか見られない珍しい品種まで、約60品種、210本以上の八重桜が植えられています。様々な色や形の八重桜を一度に楽しめる貴重な機会です。

  • 見頃: 4月中旬(一般公開期間は例年4月中旬の約1週間)
  • 桜の種類: カンザン、フゲンゾウ、松月、大手毬、紅手毬など約60品種
  • アクセス: JR・広島電鉄 五日市駅北口から臨時バス(有料)で約10分(運行予定)

祇園公園【愛媛県】高台から桜越しに見る景色

愛媛県大洲市の肱川沿い、高台にある祇園公園は、約700本の八重桜が植えられた名所です。見晴らしの良い公園からは、桜越しに大洲の街並みや肱川の流れを望むことができます。

見頃となる4月中旬から下旬にかけては、「さくらまつり」が開催され、多くの花見客で賑わいます。期間中はぼんぼりが灯され、夜桜見物も楽しめます。ほのかな明かりに照らされた八重桜は、昼間とはまた違った幻想的な美しさを見せてくれます。公園内には遊具もあり、家族連れにも人気のスポットです。

  • 見頃: 4月上旬~4月中旬
  • 桜の種類: ヤエザクラ
  • アクセス: JR八多喜(はたき)駅から徒歩約5分

弘前公園【青森県】日本有数の桜名所、遅咲きの八重桜も

日本さくら名所100選にも選ばれ、全国的にも有名な弘前公園の桜。ソメイヨシノをはじめ、シダレザクラ、八重桜など、約52種類、2,600本もの桜が園内を彩ります。

ソメイヨシノの見頃が終わる4月下旬頃から、八重桜が見頃を迎えます。特に、弘前発祥の「弘前雪明かり」や、園内各所で見られる「関山」「八重紅枝垂」などが有名です。「弘前七桜」として、ソメイヨシノに続いて咲く代表的な八重桜7品種を選定しており、桜のリレーを楽しむことができます。外濠の花筏(はないかだ)も見事です。

  • 見頃: 4月下旬~5月上旬(八重桜)
  • 桜の種類: ソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラ(関山、八重紅枝垂、弘前雪明かりなど)約52種
  • アクセス: JR弘前駅からバスで約15分、「市役所前公園入口」下車

八重桜をさらに楽しむためのポイント

このセクションでは、八重桜の観賞をより一層豊かにするためのヒントや、注意しておきたいマナーについて解説します。ベストなタイミングで見頃を捉える方法や、美しい写真を撮るコツ、そして快適な花見のための持ち物リストなどを紹介します。

ベストなタイミングで見頃を捉える

八重桜の見頃はソメイヨシノより遅いとはいえ、地域や品種によって異なります。お目当てのスポットの最新の開花情報をチェックすることが重要です。

多くの自治体や観光協会、公園の公式サイトでは、桜の開花状況を随時更新しています。また、気象情報サイトの桜開花予想なども参考になります。特に「通り抜け」のような期間限定公開の場所は、事前に公開期間を確認しておきましょう。

写真撮影のヒント

華やかな八重桜を写真に収めるための簡単なコツをご紹介します。

  • 光の向きを意識する: 順光(被写体の正面から光が当たる)だと色が濃く鮮やかに写ります。逆光(被写体の後ろから光が当たる)を利用すると、花びらが透けて繊細な雰囲気を表現できます。
  • 背景を整理する: 主役である八重桜の花が引き立つように、背景はシンプルにするのがポイントです。空を背景にする、背景をぼかす(スマートフォンのポートレートモードなど)といった工夫をしてみましょう。
  • アップで撮る: 八重桜の特徴である、幾重にも重なった花びらのディテールを捉えるには、マクロ撮影やズーム機能を使って花に近づいて撮るのがおすすめです。
  • 時間帯を選ぶ: 早朝や夕方の柔らかい光は、桜をより美しく見せてくれます。日中の強い光よりも、陰影が出て立体感のある写真になります。

花見のマナーと持ち物リスト

美しい八重桜を誰もが気持ちよく楽しめるように、マナーを守ることが大切です。また、快適に過ごすための持ち物も準備しておきましょう。

花見のマナー:

  • ゴミは必ず持ち帰る。
  • 桜の枝を折ったり、花をむしったりしない。
  • 立ち入り禁止の場所には入らない。
  • 大声で騒いだり、音楽を大音量で流したりしない。
  • 火気の使用は指定された場所で行う(多くの公園では禁止)。
  • 場所取りは必要最小限のスペースで、長時間放置しない。

持ち物リスト(例):

カテゴリアイテム例備考
基本アイテムレジャーシート、折りたたみ椅子・テーブル地面が湿っている場合もあるため、厚手のものがおすすめ
飲食物弁当、お菓子、飲み物ゴミ袋も忘れずに
寒さ対策ブランケット、カーディガン、カイロ特に朝晩や曇りの日、北国の花見では必須
便利グッズウェットティッシュ、ティッシュペーパー、ゴミ袋、モバイルバッテリーあると便利
撮影関連カメラ、スマートフォン、予備バッテリー、自撮り棒思い出を残すために
その他日焼け止め、帽子、サングラス(日中)、虫よけスプレー(場所による)天候や場所に応じて

Q&A よくある質問

このセクションでは、八重桜に関して多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式でお答えします。八重桜と牡丹桜の違いや、花言葉、自宅での栽培についてなど、さらに知識を深めましょう。

八重桜と牡丹桜の違いは?

「牡丹桜(ぼたんざくら)」は、八重桜の別名です。特定の一品種を指すわけではなく、八重咲きの桜が牡丹の花のように見えることから、このように呼ばれるようになりました。したがって、「八重桜」と「牡丹桜」は基本的に同じものを指していると考えてよいでしょう。

八重桜の花言葉は?

八重桜全般の花言葉としては、「しとやか」「豊かな教養」「善良な教育」などがあります。幾重にも重なる花びらの優雅で奥ゆかしい姿から、「しとやか」という花言葉が生まれたとされています。また、入学や卒業のシーズンに咲くことや、その上品な佇まいから、教養や教育に関連する花言葉も付けられたと言われています。お祝いの席で桜湯(桜茶)に八重桜が使われるのも、これらの花言葉や、「八」が末広がりで縁起が良いとされることと関連があるかもしれません。

自宅で八重桜を育てることはできる?

はい、八重桜も庭木や鉢植えとして自宅で育てることが可能です。ただし、桜は一般的に大きく育つ樹木なので、庭植えの場合は十分なスペースが必要です。鉢植えの場合は、比較的コンパクトに育てられる品種を選ぶとよいでしょう。

育てる際は、日当たりと水はけの良い場所を選び、適切な剪定や病害虫対策を行うことが大切です。品種によって育てやすさも異なるため、購入する際に園芸店などで相談することをおすすめします。

まとめ

この記事では、春の終わりを華やかに彩る八重桜について、その魅力や基礎知識、そして全国のおすすめ名所をご紹介しました。ソメイヨシノとは異なる豪華さと、遅咲きならではの長く楽しめる期間が八重桜の大きな魅力です。

北は北海道から南は愛媛まで、各地の名所では、歴史的な建造物との共演や、珍しい品種との出会い、息をのむような桜のトンネルなど、様々な形で八重桜の美しさを堪能できます。それぞれのスポットの特徴や見頃を参考に、ぜひお気に入りの場所を見つけてみてください。

開花情報をチェックし、マナーを守って、美しい八重桜と共に心豊かな春のひとときを過ごしましょう。この記事が、あなたの素晴らしいお花見体験の一助となれば幸いです。

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